15.06.2026
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2027・28年に実効化?EUデジタル変革は日本企業に何をもたらすか

欧州連合(EU)は、域内市場のデジタル化とビジネス環境の改善を進めている。企業設立や国境を越えた事業展開を容易にする新しい企業形態、企業の身元証明や認証書類のデジタルでの管理などが主な内容だが、これにより、進出日本企業に何が起こるのだろうか? 

© NRW.Global Business Japan

EU市場への進出を検討する日本企業にとって、今注目すべき動きがある。EUが推進する「28th Regime(28番目の制度)」とも呼ばれる「EU Inc.」や「ワンスオンリー原則」といったデジタル化施策だ。これらの取り組みは、企業設立や行政手続きを簡素化し、EU域内での事業展開をこれまで以上に容易にする可能性を秘めている。 

まず、EUで統一された企業形態である「EU Inc.」の導入は、日本のスタートアップや中小企業にとって強力な足がかりとなる。「EU Inc.」は、48時間以内に100ユーロ未満で設立できるのが大きな特徴。進出先ごとの国内会社法を個別に精査し、都度膨大なリーガルコストをかけて現地法人を設立する必要がなくなる。例えば、日本の製造業が欧州に参入する場合、一つの「EU Inc.」として核となる拠点を構築すれば、その単一の法人格のまま、異なる加盟国内に営業所や物流ハブを極めてスムーズに開設できるようになり、国境を越えた事業展開のスピードが圧倒的に向上する。欧州委員会は2026年末までの欧州議会およびEU理事会での法案可決を目指しており、各国の登記システム連携を経て、早ければ2028年にも実際の運用が始まる見通しだ。 

次に、企業のデジタル金庫として機能する「欧州ビジネスウォレット」は、これまで日本の本社や現地法人が直面していた物理的な書類手続きを一変させる。2026年初頭に法案が提出され、欧州議会等での審議を経て2027年までの運用開始を目指すこの制度下では、商業登記簿の写し、営業ライセンス、納税証明書といった重要書類をデジタル上で安全に保管・共有できるため、アポスティーユ(外国で公的書類を使用する際に、その真正性を証明するための国際的な認証制度。ハーグ条約加盟国間では領事認証が不要となる)の取得や多言語への翻訳、物理的な郵送といった手続きに煩わされることがなくなる。この仕組みは、例えば欧州全域でITソリューションの商談や官民の入札に臨む日本のテック企業にとって大きな武器となる。必要な証明書をウォレットから即座に提出できるため、手続きの遅延による機会損失リスクが解消される。 

そして、これらを支える「ワンスオンリー原則(Once-Only Technical System(OOTS))」は、日本の製造業、特に部品サプライヤーなどのサプライチェーン管理において効果を発揮する。OOTSはすでに2023年12月からEU全27加盟国で稼働しており、2026年現在はあらゆる行政機関への接続拡大と対象手続きの拡充が進められている。例えば、ドイツ当局に対して一度登録したコンプライアンス情報や安全データシートは、EU域内のデジタルネットワークを通じて他国と安全に共有される。そのため、隣国への新たな倉庫の設置や物流プロセスの構築に際して、同じ書類を何度も提出し直す必要がなくなる。これにより、通関手続きの迅速化や物流網の迅速な立ち上げが可能となり、バックオフィス業務の負担が軽減されることが見込まれる。 

これらのデジタルイニシアチブは、欧州をさらに統合された、摩擦のないビジネス環境へと進化させつつある。国境の壁がデジタルによって取り払われる今こそ、日本企業にとって欧州事業を次のステージへと飛躍させる最適な好機であると言えよう。 

 

出典: 

https://www.bnotk.de/aufgaben-und-taetigkeiten/zeitschriften/bnotk-international/details/kommissionsvorschlag-zur-eu-business-wallet-veroeffentlicht?utm_source=chatgpt.com 
https://commission.europa.eu/news-and-media/news/eu-inc-making-business-easier-european-union-2026-03-18_de?utm_source=chatgpt.com 
https://futurium.ec.europa.eu/en/border-focal-point-network/news/eu-advances-once-only-principle-simplify-cross-border-procedures 

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