20.08.2026
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新開発 "垂直ウォータースポンジ" 洪水と熱波から都市を守る壁面貯水システム

気候変動による集中豪雨やヒートアイランド現象への対策として、ドイツ・フラウンホーファーUMSICHT研究所が建物の壁面を活用した新たな治水システムを開発した。日本企業との協業を通じた技術進化と、国際的な都市開発への応用が期待されている。

© Fraunhofer UMSICHT

気候変動に伴う集中豪雨やヒートアイランド現象に対し、敷地に余裕のない密集した都市部では、緑地化や人工貯水池といった従来の治水対策に限界が生じている。こうした課題を解決するため、ドイツ・NRW州のルール地方に位置する都市オーバーハウゼンにあるフラウンホーファーUMSICHT研究所(Fraunhofer-Institut für Umwelt-, Sicherheits- und Energietechnik UMSICHT:フラウンホーファー環境・安全・エネルギー技術研究所)は、建物のファサード(壁面)を雨水の貯蔵庫として活用し、垂直方向の「スポンジ都市」を実現する革新的なシステム「Vertical Water Sponge」を開発した。

本システムは、屋根からの雨水を壁面の特殊な鉱物顆粒に取り込んで蓄え、ゆっくりと蒸発させることで周囲の熱を奪う。これにより、都市内のローカルな環境を改善しつつ、集中豪雨時の下水道への負荷を軽減し、局地的な洪水を防ぐ役割を果たす。外部電力を一切必要としない完全なパッシブシステムであり、新築・既存を問わず柔軟に導入可能である。研究機関や水管理機関の強固なネットワークと建築物の密度が高いノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州は、こうした革新的な気候適応技術の実証実験に最適な環境を提供している。

都市の熱波や水害は世界共通の課題であり、本システムは国際的な都市開発において極めて高い市場の可能性を秘めると同時に、日本企業との共同開発においても魅力的な接点をもたらす。
例えば、システムの中核となる貯水材には、さらなる軽量性、不燃性、耐候性が求められている。ここで、日本の素材メーカーが誇る高機能な多孔質セラミックスや特殊な吸水ポリマー、あるいは産業副産物を活用したリサイクル建材の技術を応用すれば、次世代のコア素材を共同で生み出すことが可能である。さらに、将来的にシステムを都市全体へ広域実装する段階では、壁面の水分量や温度をリアルタイムでモニタリングし、気象データと連動して水量を自動制御するスマート化が不可欠となる。

この領域では、日本のIT企業や電子機器メーカーが得意とするIoT・センサー技術を統合することで、システム全体を高度なスマートウォーターマネジメントへと進化させ得る。また、実際の商業ビル等へ大規模に導入する際の意匠性に関しても、日本の建材メーカーが持つ美しい外装ルーバー技術や、貯水モジュールを防音パネル・壁面緑化と一体化させるノウハウを組み合わせることで、建築業界への普及を劇的に加速させることができる。

フラウンホーファーUMSICHT研究所の研究基盤と、日本企業の高度なマテリアル、IT、そして建材技術が融合することで、Vertical Water Spongeが気候変動に強い都市開発の新たなグローバルスタンダードとなることが期待される。

出典: https://www.fraunhofer-zukunftsstiftung.de/de/veranstaltungen/wissenschaftssofa-vwsponge.html
https://www.umsicht.fraunhofer.de/de/projekte/vertical-water-sponge.html


最終更新日: 20.08.2026

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