シリーズ第二弾は「東芝」。同社のドイツ拠点設立は1969年で、長い経験と実績がある。この拠点をベースに2023年9月、Regenerative Innovation Centre(RIC)を設立。同センターはサーキュラーエコノミー・カーボンニュートラルの研究開発・応用展開の技術拠点としての役割を担っているという。ドイツ駐在を5年間経験し、同センター設立に大きく貢献した執行役常務 海外戦略事業推進部(インタビュー当時) 熊谷朋昭氏にお話を伺った。
(熊谷氏は2025年1月〜東芝アメリカ電子部品社社長、東芝アメリカ社社長就任)
以下はインタビュー動画(全編日本語/Youtube)からの抜粋。
➖ NRW. Global Business Japan 代表・川久保 (以下、NGB Japan 川久保)
日本企業の皆様から「ドイツに進出事例について知りたい」「他社はどうしているのだろうか」という声があり、このインタビューシリーズを始めました。今回、お話を伺うのは、皆様もよくご存知の「東芝」です。グローバルに幅広いビジネスを展開する貴社が、ドイツにこの度、Regenerative Innovation Centre(RIC)センターを設立されましたが、RICについて教えていただけますか?
Regenerative Innovation Centre(RIC)とは?
➖ 東芝 熊谷氏
サーキュラーエコノミー・カーボンニュートラルの研究開発・応用展開の両輪を担うための技術拠点として設立しました。内容としては、デバイス・エネルギー・デジタル・脱炭素等の分野にフォーカスして研究開発を展開していきたいと考えています。
➖ NGB Japan 川久保
御社のような大手企業はたくさんの国際拠点を持っているのに、何故、RICのような素晴らしい拠点をドイツに作ろうと思いましたか?
ドイツを選んだ理由
➖東芝 熊谷氏
まず、ドイツを始めヨーロッパは、サーキュラーエコノミー・カーボンニュートラル分野で世界の最先端を走っていると思います。そして、エネルギー資源の制約などの状況の中、ドイツでのCN(カーボンニュートラル)やCE(サーキュラーエコノミー)が進んで行くだろうと思ったからです。
また、1969年からドイツ デュッセルドルフで事業展開しているため長い歴史、フットプリント、インフラがあったのです。そしてNRW州、デュッセルドルフには日本人が住みやすい環境があったので、拠点として選びました。
加えて、NRW州にはアーヘン工科大学(RWTH)などの研究機関があり人材がいて、またパートナーが豊富というところも重要。
➖ NGB Japan 川久保
では、逆に御社にとってチャレンジングなところはドイツ市場でもありましたか?
ドイツ市場でチャレンジングだったのは…
➖東芝 熊谷氏
やはりヨーロッパはフィジカルに遠いため、どうしても日本側(本社側)にとって、なかなか「自分ごと」にならない。そこでどうやれば「自分ごと」としてその気になるのか、マネージメントとヨーロッパの重要性を共有していくことが、チャレンジでした。
そこでしっかりとドイツに拠点(支店)を構えることで「自分ごと」にする、ということが必要だと感じました。