生産現場では複雑化する装置を操作するだけでなく、故障にも柔軟に対応できなければならない。フラウンホーファーIPTと三菱電機が今般共同で開発した新たな知的情報システムは、各オペレータの業務にカスタマイズした情報を機械制御から直接提供する
生産中の機械停止は高コストを招く。そのため、オペレータは、機械の再稼働に向け直ちに正しい決定を下さなければならない。障害の原因を発見し、適切な解決策を見つけるには、関連情報をすべて組み合わせて、全体像を把握する必要がある。この知的情報システムをスマートアイウェアやタブレットなどの端末とつないで活用すれば、スタッフのトレーニングから機械の不具合の解消、さらにメンテナンスまで、現場をサポートできる。なお、AndroidOSを搭載した市販のデータメガネやタブレットで機能するため、市販の端末を生産環境に統合可能だ。
この新システムでは、三菱電機製の機械制御装置とスマートデバイスが直接通信しあう。 これにより、障害が発生したとき、機械のドアが完全に閉じていないとき、あるいはメンテナンスが間近になったときに、端末上にポップアップメッセージが表示され、スタッフにリアルタイムで直接通知され、且つサポートが提供される。
またビデオやテキストなど異なるフォーマットを使用して、例えば、金型の交換方法などを段階的に表示することもできる。これによりオペレータは問題を迅速に解決できる。オペレータはもはやマニュアルや作業・検査指示書を参照する必要がないので、本来の作業に集中できる。一方企業もこのシステムを使用することで、機械の停止時間を短縮し、より正確に受注計画を練り、製品をより迅速に仕上げられる。またこのシステムは機械の故障や修理のみならず、工作機械の個々のコンポーネントの監視もリアルタイムで行う。さらにスマートデバイスには、駆動系モーターの電流データや、実際に機械に組み込まれているコンポーネントを3Dモデルで作業者の視点に立って表示する。これにより、コンポーネントの状態をいつでも継続して監視することができる。こうしてオペレータはトラブルが発生する前に対策を取る、あるいはデータを基に、コンポーネントの磨耗が予想より少ないを確認した上で、自主的にメンテナンス間隔を広げることができる。
このシステムは研修やトレーニング用コンテンツも呼び出せる。機械を操作しながら経験を積み、得た知識を直接応用できるので、未経験の従業員であっても1日目から自主学習しつつ作業ができる。また熟練者にとってもスマートアイウェアは複雑な機械を操作する際サポートとなる。さらに企業には、生産性向上に加え、熟練労働者の急激な不足への対応策となろう。