シリーズ第一弾は「株式会社ハイボット」。同社は2023年、NRW州アーヘン市にhibot europe GmbHを設立しました。インフラ設備点検ロボットを研究開発するhibot社の挑戦を代表取締役Dr.ミケレ グアラニエリ氏と執行役員/ビジネスオペレーション本部長 山本 猛氏に伺いました。
以下はインタビュー動画(全編日本語/Youtube)からの抜粋となります。
➖ NRW. Global Business Japan 代表・川久保
弊社は日本企業のドイツ・NRW州への進出をサポートする組織。日本企業の皆様からよく聞くのは「ドイツに進出事例について知りたい」という声です。そこで、既に進出している日本企業の事例をこれからインタビューシリーズで紹介していきたいと考えております。
最初にインタビューさせていただくのは、株式会社ハイボット(以下hibot)様。代表のグアラニエリ様と執行役員の山本様をご紹介いたします。
事業紹介
➖ hibot グアラニエリ氏
2001年に東京工業大学へ留学生として来日し、2004年にhibotを設立しました。現在、グローバルに展開中です。当社はインフラ設備点検ロボットを研究開発する企業で、特に石油・ガス業界や化学工場、ゼネコンなどでの導入が進んでいます。会社設立当初から「人を助けること」をゴールにしており、古くなった設備の点検・保守を行うロボットを開発し、人の役に立ちたいと考えています。
➖ hibot 山本氏
2022年にRaaS(Robotics as a Service): ロボットを貸し出すサブスクリプション形式サービス担当で入社しました。また、欧州子会社設立の任務も与えられました。
早いステージで欧州市場へ 日本と海外の違い
➖ hibot グアラニエリ氏
海外では、新しい製品について実績がなくてもイノベーションを進めたいという気持ちが強く、声がかかりました。ステークホルダー全員が席に着き現場の声を聞こう、最初から全て完璧に出来ることは求めず1つクリアしたら次へ、という姿勢が海外です。日本も最近は少し変化してきていますが、現場の声が届きにくく、最初から完璧な状態を求める傾向にあったと思います。
ドイツNRW州進出の理由
➖ hibot グアラニエリ氏
ロボット開発に加え、サービスにもフォーカスしようと考えていた際に、ドイツの大手化学メーカーBASF社との大きなプロジェクトがきっかけとなり、NRW州に進出しました。NRW州はヨーロッパの中心に位置し、他地域へのアクセスが容易で、化学産業のコアハブでもあります。多くの顧客が近くにいる点や、ものづくりの観点からもNRW州は非常に強力な地域であるため、他の企業との交流も活発に行われています。
進出の際の課題
➖ hibot 山本氏
進出は決してスムーズな道のりではありませんでした。最も人材確保には苦労しましたが、NRW.Global Business Japanのサポートにより、現地のリクルーターを紹介していただき、人材確保が出来ました。また、賃金のギャップについても現地のマーケット事情を学ぶことが出来、見直した結果、現在に至るわけです。
また、子会社設立の登記手続きに想定以上の時間がかかり、事業開始の遅れはサービス面にも影響がでました。事前に現地の法律会計事務所とより綿密に連携することが重要だったと感じています。
人材確保と現地パートナーの重要性
➖ hibot 山本氏
アーヘン市にドイツ現地法人を設立したのですが、ここには工科大学として有名なアーヘン工科大学(RWTH)があり、当社の求める人材の確保に非常に役立っています。
また、昨年(2023年)にドイツBASF社へ初めて納入し、以降はベルギー最大の認証検査機関Vinçotte社(ヴァンソット社)とレンタルロボット事業も展開しています。ここにきて感じるのは現地のディストリビューターとの連携の重要性です。迅速に市場のニーズに対応できるため、ビジネスの拡大に大きく貢献しています。
➖ hibot グアラニエリ氏
サービス面では非破壊検査や点検・保守の現地パートナーが重要です。また、開発面においては大学等の研究機関とのEUプログラムを利用したR&Dが重要であり、集めたデータを利用しデジタルサービスを提供できるソフトウェア面でのパートナーも大切になってきます。
インタビュー動画(Youtube 約20分)はこちらから>>
株式会社ハイボット公式ホームページ