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持続可能な社会・経済構築へ ドイツで6000億ユーロ 日本から学び、NRW州でのチャンスを活かす

近年、公共インフラへの投資は、EU、ドイツ、アメリカの国々で繰り返し取り上げられているテーマだ。特にドイツや日本を含むG7諸国では、社会と経済を変革するという課題解決のために最大限の努力が求められている。

技術革新、教育、インフラ、交通網、エネルギー分野への投資は、社会と経済が十分に機能するために重要な基盤を成すものだが、年金や医療費などへの支出や、また近年は特に地政学的な対立を受けて国防費とも競合している。

ケルンのドイツ経済研究所(IW)とデュッセルドルフのマクロ経済・景気動向研究所(IMK)の調査によると、インフラを整備し、経済と社会の脱炭素化を推進するためには、ドイツ連邦共和国だけでも今後6000億ユーロの投資が必要だと試算されている。
これからの10年間で、教育制度の改善、地方自治体における投資停滞の解消、公共交通機関の整備や建物の改修などを促していくためには、巨額の資金調達が必要となる。そのため、課題解決は財政的な負担を意味するが、しかし同時に成長と革新の大きなチャンスももたらす。

エコノミストの試算によると、ドイツの市町村においてインフラなど投資停滞の問題を解消し、異常気象に備える対策を実施するためには、1770億ユーロが必要とのことである。さらに2000億ユーロの資金が気候保護、特に建物のエネルギー改修と再生可能エネルギーの拡大に充てられる必要がある。また、鉄道網を高度化し、効率的で環境に優しい公共交通を拡大するためには、交通部門と近距離公共交通に約1270億ユーロが必要と試算されている。加えて、教育インフラや公営住宅に対しても、現在の需要を満たすためには更なる投資が求められる。

そこで資金調達の手段としては「インフラ基金」を活用することやドイツ連邦政府、ドイツ連邦州が将来投資の一環としてローンを組むことを認める「黄金律」を適用することも選択肢のひとつとして考えられる。そんな中、NRW州では持続可能な州の財政政策によって投資条件を整えつつある。
ドイツ経済研究所(IW)のミヒャエル・ヒュター理事とマクロ経済・景気動向研究所(IMK)のセバスチャン・ドゥリエン理事は、直面する課題は厳しいものの、これらの投資からはチャンスが生じると強調している。迅速に刷新を図ることが経済と雇用に恩恵をもたらすだけでなく、次世代のための持続可能な未来を確保することに繋がるのだ。

日本を含む外国企業にとって、NRW州やドイツでのイノベーション、教育、インフラ、交通網およびエネルギー分野への将来的な投資は、絶好のビジネスチャンスを意味する。今年(2024年)2月に発表された米マイクロソフト社(MS)の大規模投資もこれが故であり、米MSはNRW州のAIデータセンター整備に32億ユーロの投資を決定した。

参考資料 図: IW/IMK資料の図を日本語訳