ドイツの新型コロナ感染者数は13万450人、これに対し死亡者数は3,569人と国際比較で致死率がかなり低い(2020年4月16日現在)。その理由のひとつにCOVID-19患者を受け入れ、治療出来る医療体制が整っていることが挙げられる。
NRW州でも集中治療病床は十分に確保されている。コンスタンツ大学のワーキンググループ「データ分析と視覚化」が作成したインタラクティブマップを見ても一目瞭然だ。
このインタラクティブマップは「ドイツ集中治療・救急医学会(DIVI)」が把握するドイツ全国の集中治療病床数のデータを基にして作成されている。地図上には集中治療病床を持つ病院すべての稼働率が、全ドイツの連邦州及び地域毎にまとめて示されている。
集中治療病床を下記3カテゴリーに分類し、また稼働状況を3つのレベル別に表示する実用的なツールとなっている。これにより、病院や関係者等は比較的迅速に意思決定できる。
<カテゴリー> ●基本的集中治療(人工呼吸器不要) ●集中治療(人工呼吸器要) ●ECMO人工呼吸ステーション
<稼働状況> ●空き有り ●限定的 ●満床
このマッピングは、主に「ドイツ集中治療・救急医学会(DIVI)」のデータを基にしているが、ロベルト・コッホ研究所やその他機関のデータも組み込まれており、集中治療病床の稼働率を評価するこれまでにない統合分析ツールだ。
このインタラクティブマップはその他にも様々な機能を兼ね備えている。例えば、患者の搬送が可能か否かをより適切に判断出来るよう、小型飛行機やヘリコプターの発着場も表示できる。また連邦州、行政区、郡毎にデータを比較し易いようにソーティング出来、かつ、稼働率に応じて色分けする機能も備えている。
とはいえ、信頼性の高い最新データを提供することは一筋縄ではいかない。多くの郡や中部ドイツおよびバイエルン州の大部分がデータをDIVIに提出していないのがその理由だ。またマップ開発にあたり、現在アクセスできるのはDIVIの公開データにのみ限られ、非公開データにはアクセスできない。加えてこの状況下、DIVIデータは常に最新とは言い切れず、完全性は部分的にしか確保されていないこともネックとなっている。
NRW州には344の病院があり、内、287は集中治療体制を完備した病院だ。ハインツベルク郡で急激なコロナ感染拡大が起きたものの、依然としてデュッセルドルフ、メンヒェングラッドバッハ、およびデュイスブルク等、NRW州内都市は患者を十分に収容・治療出来る医療体制が整っていることが分かる。
ドイツ連邦政府および各州政府は人との接触制限等、新型コロナ感染症対策を実施し、また検査も1週間に約50万件の件数で行っている。加えて、ハインツベルク郡で発生したコロナ感染拡大のウイルス学的調査も進められ、急ピッチでワクチンや抗体、医薬品が研究開発されている。このような国を挙げての取り組みと共に、このインタラクティブマップは「ロックダウン」解除への出口戦略構築に役立つに違いない。