マックスプランク化学エネルギー変換研究所(所在地:NRW州ミュールハイム・アン・デア・ルール)は、北海道大学低温科学研究所と共同で、初めてセンサーヒドロゲナーゼの特性の把握に成功。ヒドロゲナーゼは水生環境内のプロトンから水素ガス(H 2)を生成する酵素
今回の新発見によりセンサーヒドロゲナーゼの機能についての理解が深まり、燃料電池や水電解槽で使用される生体触媒の開発に拍車がかかると期待されている。また水素をエネルギー源として活用するこれからの環境型水素エネルギー経済の構築にも大きな可能性が与えられる。
非枯渇資源である水素は有害物を排出せず、圧縮ガスまたは極低温冷却した液体として容易に輸送および貯蔵できる。さらに水の成分として豊富に存在し、加えて天候や季節に依存せずに生産できるという特性を持つ。水素の活用方法は多岐にわたる。例えば輸送燃料として、あるいは発電や発熱用のエネルギー源として、さらに食品産業においても活用可能で、また化石燃料依存度を低めることができる。
ミュールハイム・アン・デア・ルールにあるマックスプランク研究所は、触媒作用および天然資源活用の最適化に関する基礎研究を行っている。連邦および州が共同で財政援助をするこのマックスプランク研究所は、デュッセルドルフ、ケルン、ボン、ドルトムントとミュンスターなど、NRW州には合計13カ所存在する。
社会が抱える深刻な問題を克服し、適切なソリューションを見出すために、NRW州では大学の研究活動のみならず、様々な研究と革新力を促進する文化が培われてきた。特に、社会が変化し高齢化が加速する時代においては、科学や研究を重要視する政策がNRW州では取られている。NRW州政府は経済と社会の持続可能な発展を重要課題と位置付けている。この目標が達成できるか否かは、いわゆる「鍵となる実現技術/Key Enabling Technologies (KET)」のノウハウをどこまで蓄積し、どのように構築していくのかに大きくかかっている。