BREXITはドイツ企業にとり、ますます重要なテーマとなってきている。バーデン・ヴュルテンベルク州立銀行(LBBW)と応用経済研究所(IAW)が、ドイツ中堅企業を対象にBREXITの影響を調査。その結果、ドイツ企業にもたらす深刻な経済的な影響が明らかになった
調査は2018年初頭、370名の中堅企業の管理職を対象に行われた。調査結果は、英国とのビジネスに対する見解に変化が生じていることを示した。回答者の40%が英国をそれほど魅力ある販売市場として捉えていないと答え、生産拠点や経済発展という観点、また政治的枠組み条件に関しても半数以上が「英国」をむしろ否定的に捉えていることが分かった。
ドイツ中堅企業は最大のBREXIT敗者は英国と位置付けた。政治的枠組みに関しては企業の半数以上が中東、北アフリカ、トランプ政権下の米国を悪いと評価。しかし、同諸国よりもさらに悪い評価を受けたのが英国だった。ドイツ中堅企業がこれだけ低い評価を下した拠点は英国だけである。そのためLBBWのカール・マンフレッド・ロヒナー取締役は「BREXITは中堅企業の EXIT(英国からの撤退)」になる可能性もあると指摘している。
NRW州経済・イノベーション・デジタル化・エネルギー省のデータによれば、NRW州の中堅企業は約4710億ユーロを産出し、またNRW州全企業の年間売上高の34%を占めるに至っている。中堅企業はまさに経済の駆動力として重要な役割を担っているのだ。今や最大の経済力を誇る連邦州であるNRW州は、第二次世界大戦後、英国に占領統治され、英国の支援を受け発足した経緯を持ち、密接な関係を築いてきた。
BREXITにより日本企業の英国への捉え方もドイツ企業同様に変化している。数十年にわたり日本企業にとって英国はヨーロッパで非常に重要な拠点であった。しかし、今、英国に拠点を置く日本企業だけでなく、EUの良好な経済状況を利用しようとする他国企業も「英国」を見直し、そしてドイツに目を向け始めている。